鉄骨造から木骨造へ - 耐震構法SE構法が可能にする大規模木造建築
Steel-frame to Timber-frame

地球上にある資源は、無尽蔵でも無限なものでもありません。
世界中の人々がそのことに気づき、環境意識の高い人々は持続可能な社会を築くためにいろいろな取り組み、努力をしています。
では、建築はどうでしょうか。鉄骨やRCで造る建築は、解体されればリサイクルできない廃棄物となってしまいますが、解体後もう一度部材を使いなおすこともできる木造建築は、持続可能な社会に必要な建築資材ではないでしょうか。また、鉄やコンクリートは有限の資材ですが、木は再生産が可能な循環型資源なのです。「伐る→植える→育てる」という森林のバイオマス(循環サイクル)の中で、成長しながらCo2を十分に吸収しきった木を伐採し、建築資材として利用する。その後、新しく植えて育つ木がまた成長しながら、またCo2を十分に吸収するというように、持続可能な資材と言えるでしょう。
このように木造建築は、現代の社会的背景からも求められているのです。


木造市場の広がり
伐採期を迎えた日本の森林、Co2削減、公共建築物木材利用促進法の施行…。いくつもの社会的背景が木材利用へのベクトルとなり、国は次々と木造化促進の国策を打ち出しています。木造市場は着実に拡大し、今後もその流れは続く見込みです。昨今話題となった新国立競技場の屋根に木造が採用されたことは決して偶然ではありません。



随所に木材を使用する新国立競技場案|出典 JAPAN SPORT COUNCIL [PDF]


非住宅木造の市場規模 ※木材利用促進法施行(2010年)前後の比較

木造ラーメン構法という、もうひとつの選択肢
木造はどういった案件で採用されていますか? せいぜい住宅+α程度の規模までで、500m2を超える規模になると当たり前のように鉄骨造・RC造を選択する方が多いのではないでしょうか?しかし、「木造(在来工法)」と「鉄骨造」の間に「木造ラーメン構法」という選択肢を持つことで、建物規模に最も適したコストが実現できます。 耐震構法SE構法はその木造ラーメン構法において最もコストコントロールが容易な構法です。住宅向けをメインに開発されたこの構法は、構造材は住宅で使用するものを用いてコストを抑え、それでいて鉄骨造と比較して遜色のない強度を誇るため、大開口、大スパンの設計を可能にします。

木造(在来工法)と木造ラーメン構法「耐震構法SE構法」と鉄骨造の比較

木造を選ぶ3つのメリット - 資産性・意匠性・軽量性

資産性
木造を選択することにより節税効果が得られます。減価償却期間が鉄骨造より短く設定されており、年間の経費をより多く計上することが節税につながります。また、耐用年数はあくまで税法上定められた年数であり、現代建築ではメンテナンスを適切に行うことで更に長期に使用可能です

意匠性

木造はやわらかな木の空間を作ることができます。柱や梁などの木材を見せて使うことで、穏やかな印象が演出できます。保育園・幼稚園や店舗など、木の温もりが好まれる施設には木造が最適です。

軽量性

木造は鉄骨造に比べ、とても軽量です。 軟弱地盤の事案においては、杭の本数が減らせたり、杭工事が不要となるケースもあります。基礎のサイズダウンを見込める為、限られた予算でプロジェクトを成立させるのに木造は有利に働きます。

上:減価償却資産の耐用年数に関する省令
下:木骨造と鉄骨造のコストの比較